スクラム入門

スクラムとは?スクラムの意味、原則やアジャイル開発での関係性や流れを徹底解説

読み取り時間 : 約12分

トピック :

  • アジャイル・プロジェクト計画
  • 戦略計画
  • チームワークとコラボレーション

ソフトウェアはここ数十年で大きく変化してきましたが、この進化は今後も続くため、開発プロセスも変化に対応し続ける必要があります。

とはいえ、常に新しいプロセスを生み出すのは非現実的です。そのため、柔軟で持続可能なソフトウェア開発プロセスを構築することが理想的であり、そこで最適なのがアジャイル開発です。

アジャイルソフトウェア開発は、反復と適応を重視したアプローチです。この記事では、特に人気の高いアジャイルフレームワークである「スクラム」について、概要やメリットをご紹介します。


スクラムとは?

スクラムは、アジャイル開発のフレームワークの一つで、ソフトウェア開発において効率的かつ柔軟にプロジェクトを進めるための仕組みです。

従来の開発プロセスは計画から開発、テストまで直線的に進行しますが、スクラムではプロジェクトを「スプリント」と呼ばれる短期間(通常2週間〜1か月)に分割し、反復的なアプローチで進めます。各スプリントで開発チームは機能追加や改善を行い、テストも同時に進めてプロダクトを段階的に成熟させていきます。

スクラムの最大の特徴は、チームワークと協力を重視する点にあり、スクラムの名前の意味もチームプレイが鍵となるラグビーの「スクラム」(英:Scrum) に由来しています。スプリントの期間中、チームは毎日の「デイリースクラム」で進捗や課題を確認し、プロジェクトをスムーズに進めるための対応を行います(スクラムのミーティングの種類については後述します)。

アジャイルソフトウェア開発の詳しい内容はこちらの記事を読んでみましょう!


スクラムのメリット

スクラムの大きなメリットに、アプローチが反復的な点があります。スクラムフレームワークを使うことで、チームは刻々と変化するソフトウェア開発の世界に適応し、スプリントを重ねながらよりよい製品を提供できるようになります。

  1. 柔軟な対応力:スクラムは反復的な開発手法のため、要件変更や新しいアイデアに迅速に対応できます。各スプリント終了後に優先順位を見直し、必要に応じて改善ができるため、変化の激しいプロジェクトに適しています。

  2. 高いチーム生産性:短期間のスプリントで成果を目指すため、チーム全体の集中力が高まり、効率的な作業が進めやすくなります。また、自己組織化が進むことでメンバーの自主性も向上し、全体の生産性が上がります。

  3. 継続的な品質向上:スクラムではスプリントごとに機能の追加や改善を行うため、製品は段階的に向上していきます。頻繁にテストとレビューを繰り返すことで、早期に問題を発見・解決し、品質を保ちながら進めることが可能です。

  4. 透明性の向上:毎日のデイリースクラムやスプリントレビューにより、プロジェクトの進行状況や課題がチーム全体で共有されます。これにより関係者が最新の情報を把握しやすくなり、プロジェクトに対する理解と参加意識が深まります。

  5. リスクの軽減:定期的なレビューや反復的な開発によって、リリース前に多くのリスクや課題を把握・解決できるため、大きな問題が後から発生するリスクが軽減されます。

  6. 顧客満足度の向上:スプリントごとに実際に動作するプロダクトを提供し、フィードバックを早期に取り入れられるため、顧客の要望に応じた製品開発が可能になり、結果として満足度の向上につながります。


スクラム開発の主な原則と特徴

スクラム開発のフレームワークは6つの基本原則に基づいて構築されており、日次のスプリントミーティングからスクラムの成果物に至るまで、スクラムのメソッドの各側面にこの原則が反映されています。その主要な基本原則は以下のようなものです。

  1. 経験的プロセス制御
    透明性、適応性、頻繁な評価を重視し、開発の各段階で製品をテストして改善します。

  2. 自己組織化
    各チームメンバーが自立して行動し、プロセス全体に対する理解と合意が必要です。これによりチームが自律的に問題を解決しやすくなります。

  3. コラボレーション
    チーム全員で責任を共有し、協力して最高の製品を作り上げる姿勢が求められます。成功も失敗も全員で支え合う環境です。

  4. 価値に基づく優先順位付け
    プロジェクトの優先度は常に再評価され、新たな要求や要件に柔軟に適応します。

  5. タイムボックスの使用
    スプリントや日次ミーティングなど、各要素には厳密な時間制限が設けられ、効率的な作業が促進されます。

  6. 反復的な開発
    製品は段階的に構築され、都度改良が加えられるため、柔軟で高品質な最終成果物が得られます。

スクラムの各プロセスは、これらの原則によって支えられ、チームが常に目標に向けて進化するプロセスを維持します。


スクラム開発でのメンバーの役割

ここまで「スクラムチーム」という表現を使ってきましたが、これはある意味では単純に、スクラム開発フレームワークを使ってソフトウェア開発を行うチームを指します。もう少し踏み込んでそのチームのメンバーの役割を見てみましょう。

スクラム開発でのメンバーの役割は、以下の3つの「スクラムロール」に分けられます。それぞれの役割がスプリントを円滑に進め、製品の品質を向上させるために重要です。

プロダクトオーナー

最高の製品を提供するには開発チームが顧客のニーズや期待を敏感に察知する必要があり、そのためには、両者の間にオープンなコミュニケーションが欠かせません。これを達成する役割を果たすのがプロダクトオーナーです。

プロダクトオーナーは製品のあらゆる側面を知り尽くした人物として顧客と開発チームとの主要な接点となります。顧客の要件をアクションアイテムに変え、製品バックログの作成と管理を行います。

スクラムチームにはそれぞれ1人のプロダクトオーナーがおり、複数がこの役割を担当することはありません。

開発チーム

これは単純で、製品の開発を行う人たちを開発チームと呼びます。スクラムの開発チームは小規模で、設計者やコーダーなど、幅広いスキルセットが必要となります。

スクラムの基本原則にもあった「コラボレーション」が重要となる要素で、スクラム開発チームのメンバーは、ボトルネック回避のために他のチームメンバーに自分のもつスキルを教える必要があります。実際のコーディングを担当するのはこのチームとなるため、各バックログ項目に必要な時間やリソースの見積もり、割り当てにも責任を持ちます。

スクラムマスター

ここまででも多少触れてきましたが、スクラムフレームワークでは多数のミーティングを行います。こうしたミーティングのスケジュール設定、調整や進行を行うのがスクラムマスターです。

スクラムマスターはスクラムに関するあらゆる要素を担当し、チームがスクラム方法論を導入する方法、微調整や改善が必要な部分の有無、スプリントの経過と共にチームを改善する方法などを検討します。

また、スクラムミーティングの適切なスケジュール設定とスムーズな進行を確保する責任も負います。


スクラムにおける成果物

すでにスクラムの専門用語を多数取り上げてきましたが、もう一つ。スクラムでは、作業の管理や完了のための仕組み、またはツールを「成果物」と呼び、主に以下の4つが挙げられます。

1. 製品バックログ

プロダクトオーナーが管理する製品バックログは、最終製品の要件をリスト化したものです。優先順位の変更に合わせ、プロダクトオーナーはバックログをシャッフルしたり、並べ替えたりします。各スプリントの開始時点でチームが製品バックログからそのスプリントで取り組むべきタスクをいくつか選びます。

2. スプリントバックログ

スプリントごとに製品バックログから選ばれたタスクはスプリントバックログに入れられ、このログは開発チームが管理し、チーム内でのみ使用します。こうしたタスクの整理は、一般に、各タスクの進捗状況と優先順位をビジュアルで追跡するスクラムボードで行います。ボード上でタスクをストア、ToDo、進行中、完了の列に分類し、完了したタスクはこれらの列に移動します。

アジャイル開発のスクラムボードの例
スクラムボードの例(詳細は画像をクリック)

3. ユーザーストーリー

ユーザーストーリーとは、バックログの項目を記述する方法です。製品バックログとは基本的に、最終製品に含めるべき機能をリスト化したもので、ユーザーストーリーはこれらの機能をエンドユーザーの視点から説明し、ユーザーがその機能を必要としている理由、実際にはどう見えるのかを検討するものです。

アジャイル開発のユーザーストーリーマップの例
ユーザーストーリーマップの例(詳細は画像をクリック)

4. 製品のインクリメント

各スプリントが終わる時点では、完了したタスクが山積みになっているはずです。これをまとめて製品のインクリメントと呼び、スプリント終了時の製品のバージョンのことを指します。


アジャイル開発のスクラムの流れ

 

アジャイル開発におけるスクラムの流れは、明確なステップと反復的なサイクルによって構成されています。以下に、スクラムの基本的な流れを示します。スクラムの流れはいくつかの「イベント」を中心に構成されています。その中でも主要なものに以下のイベントがあります。

1. スプリント

スプリントは、アジャイルソフトウェア開発の核となるイベントで、通常2〜4週間の期間で行われます。この期間内に、スクラムチームは定められたタスクに取り組み、成果物を生成します。

2. スプリント計画ミーティング

スプリントの開始時に行う計画ミーティングでは、プロダクトオーナーと開発チームが集まり、今回のスプリントで達成すべき目標を設定します。具体的には、製品バックログからスプリントバックログに取り込むタスクを選び、その内容や実行方法について話し合います。このミーティングには数時間を費やすことが一般的で、1週間のスプリントには約2時間程度を割り当てるのが理想です。

3. 日次のミーティング(デイリースクラム)

デイリースクラムは、毎日行われる15分程度の短時間ミーティングで、開発チームが前日の進捗や当日の予定を報告し、問題点を共有します。この短い時間でチーム全員の状況を把握し、協力して障害を解決することが目的です。

4. スプリントレビュー

スプリントの終了時に開催されるスプリントレビューでは、スクラムチームがステークホルダーに対してスプリント中に完成した成果物をデモし、フィードバックを受けます。このフィードバックを基に、プロダクトオーナーは製品バックログを見直し、優先順位を調整します。透明性を重視し、関係者とのコミュニケーションを促進します。

5. スプリントの振り返り

スプリントレビューの後に行われるスプリント振り返りでは、スクラムチームのみが集まり、前のスプリントのプロセスを振り返ります。うまく行った点や改善が必要な点を話し合い、次のスプリントでどのように改善できるかを明確にします。このミーティングは、チームの成長を促進し、次回のスプリントに活かすための重要な機会です。

スクラムの中での振り返の例
振り返りの例(詳細は画像をクリック)

では、これまでの内容を踏まえて、早速スクラムボードテンプレートを活用し、実際に作図を始めてみましょう。これにより、スクラムのプロセスを視覚化し、チームの進捗を効果的に管理することができます。さあ、あなたのアイデアを形にして、スクラムのメリットを実感してみましょう。

プロジェクトを整理された状態で進行

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