パーキンソンの法則とは?対策ガイドで生産性を向上

読み取り時間 : 約7分

トピック :

  • アジャイル・プロジェクト計画

車のオイル交換が必要になったときのことを思い出してみましょう。普通の人なら、オイル交換ランプが点灯してから数週間放置し、本当にオイル交換が必要なタイミングでようやく修理工場に向かって、キーを渡し、オイル交換を頼むのではないでしょうか。まさにパーキンソンの法則を体現する状況です。

パーキンソンの法則に詳しくない方は、「先延ばし」と同じことだと思われるかもしれませんが、先延ばしはパーキンソンの法則の症状のひとつであり、法則そのものを指すものではありません。

詳しく説明しましょう。

パーキンソンの法則とは?

パーキンソンの法則では、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」とされています。つまり、仕事の複雑さや要件に関係なく、人は割り当てられた時間をすべて使い果たす傾向があるため、タスクやプロジェクトには必要以上に時間がかかりがちということになります。

パーキンソンの法則は、英国の海軍史家で作家のシリル・ノースコート・パーキンソンによって定式化されました。この概念は、1955年11月19日にエコノミスト誌に掲載された「パーキンソンの法則 : あるいは進歩の追求」というタイトルの風刺エッセイでを初めて紹介されました。大組織にありがちな官僚主義や非効率を皮肉たっぷりに取り上げたこのエッセイでは、仕事が実際の目標や生産性とは無関係に拡大し、官僚組織が肥大化する傾向について、さまざまな観察と原則を提示しています。

最初のエッセイは風刺的なものでしたが、風刺だけに真実を解き明かす内容で、すぐにパーキンソンの法則は人気を博し、経営コンサルタント、学者やビジネスリーダーに受け入れられました。

パーキンソンの法則をまさに自分自身が体現しているということに気づかれた場合でも、ショックを受ける必要はありません。よくあることです。職場でもよく見られる光景ではないでしょうか。

例えば、会議の時間を長めに取ると、議論が長びき、内容が複雑になりがちで、反対に、短い会議ほど集中力が高まり、生産性が向上する傾向があること。また、メールの返信に時間的な制約がなければ、そのメールの作成と編集にかかる時間が長くなるものの、迅速な対応が必要な場合は、簡潔な返信を急いで送ることが多いことなどです。

これはソフトウェア開発でも起こることで、厳密なスケジュールがないと、プロジェクトが想定以上に長引くことがあります。

パーキンソンの法則をわかりやすく説明

では、なぜパーキンソンの法則が起こるのでしょうか。この法則自体はユーモア混じりに表現されることが多いものの、その着眼点は人間の行動、心理学や組織力学に根ざしたもので、以下のように説明できます。

心理的な先延ばし : 人間とは、先のことのように思えたり、当面期限がないタスクに直面すると、先延ばしにしたがるものです。時間に余裕があると、仕事の開始を延期する可能性が高く、結果としてタスク完了までの時間が長くなります。

複雑さの認識 : 緊急性のないタスクの場合、タスクがより複雑または困難に見えることがあります。期限を設定することで、人はタスクを管理可能なステップに分割し、より効率的に作業する傾向があります。期限がないと洗濯後2週間経っても洗濯物を出しっぱなしにしてしまいますが、母親が1時間以内に来るとわかっていれば10分でしまえるはずです。

パーキンソンの原理 : これはパーキンソンの法則に関連する概念で、供給に合わせてリソースの需要が増加することを示唆したものです。時間的な観点から見ると、タスクに割り当てられる時間が長い場合、そのタスクを早く完了できる場合でも、割り当てられた時間をすべて使ってしまう傾向があります。

官僚主義と組織の非効率性 : パーキンソンは当初、官僚主義の文脈で法則を説明しました。大規模な組織では、不必要なプロセス、承認や事務処理が増える傾向があり、タスクに必要以上に時間がかかる可能性があります。

パーキンソンの帰結 : これは、利用できる時間を埋めるよう仕事が膨張するだけでなく、人材、資材や資金などの利用可能なリソースを消費するためにも仕事が膨張することを示した法則の拡張版です。これにより、タスクへのリソースの過剰な割り当てが発生する可能性があります。

時間がありすぎることによる効率の低下 : 時間がありすぎると、効率が低下する可能性があります。切迫感があると、集中力を維持し、より迅速な意思決定を下せるようになります。

必要な時間の過大評価 : 特に厳密な期限がない場合、タスクの完了に必要な時間を過大評価することがよくあります。この過大評価により、タスクに必要以上に時間がかかる可能性があります。

いろいろ解釈の仕方はありものの、パーキンソンの法則はありふれたものであり、肥大化したプロジェクトから、日に日にスケールが膨張する結婚式の計画に至るまで、身の回りのいたるところでこの法則が働いているのに気づくようになります。

さて、この法則はどう克服することができるのでしょうか?その方法をお教えしましょう。

パーキンソンの法則を克服するためのステップ

パーキンソンの法則を克服するには、意識的な努力と効果的な時間管理戦略が必要です。こうした傾向を克服し、生産性を高めるためのアイデアをいくつか紹介します。

  1. 具体的な期限を設定する : タスクやプロジェクトに明確で現実的な期限を設定します。期限に余裕がありすぎたり、厳しすぎたりしないように注意し、具体的な期限を設定することで、切迫感と集中力を高められます。
  2. タスクに優先順位を付ける : 最も重要かつ緊急のタスクを特定します。優先順位を付けることで、本当に重要なタスクにより多くの時間と注意を割り当てられ、重要性の低いアクティビティに時間をかけすぎることがなくなります。
  3. 時間をブロックする : スケジュール内の特定の時間をブロックし、さまざまなタスクやプロジェクトに割り当てます。整理整頓しやすくなり、各アクティビティに一定の時間を確実に費やすことができます。
  4. 完璧主義を避ける : よい仕事ができるよう努力することは良いことですが、完璧主義は避けましょう。完璧主義になると、結果が対して変わらないような細部に過剰な時間を費やしがちになります。十分といえるレベルに達したら先に進みましょう。
  5. タスクを小さなステップに分割する : 大きなタスクやプロジェクトを管理しやすい小さなステップに分割することで、進捗状況を把握しやすくなり、心理的な圧迫感が減ります。
  6. 2分ルールを採用する : 2分以内に完了できるタスクはすぐに片付ければ、小さなタスクが積み重なって後でムダに時間がかかることがなくなります。
  7. 気を散らす要素を排除する : 通知をオフにし、無関係なタブやアプリを閉じ、専用のワークスペースを作成することで、作業中に気が散る要素を最小限に抑えます。気が散ると時間の浪費や先延ばしにつながる可能性があります。
  8. 時間管理テクニックを使う : インターバル (25分間隔など) を設定して集中作業し、その後短い休憩を挟むポモドーロテクニックなどの時間管理テクニックを検討してみましょう。集中力と生産性を維持するのに役立ちます。
  9. 個人の責任範囲を決める : 友人、家族、同僚などとの間で期限と目標を約束します。約束があると思うと、計画通りに作業を進められるようになります。
  10. 振り返りと調整を行う : 自分の仕事習慣と生産性を定期的に見直し、時間を無駄にしたりタスクを過小評価したりする傾向がある領域を特定して、適宜調整します。
  11. 自制心を養う : 期限や目標を守り続けられるよう自制心を鍛え、生産性を支えるルーティンと習慣を身につけます。
  12. 自分にご褒美をあげる : 期限を守れたり、タスクを効率的に完了できたりした場合のご褒美を決めます。ポジティブなご褒美は制限時間を守るための動機となります。

Lucidspark でパーキンソンの法則を克服

Lucidspark は、パーキンソンの法則との戦いに最適なツールです。生産的で活気に満ちた会議やチームとの目標の共有に活用し、複雑度の高いプロジェクトを達成可能なマイルストーンに分割するなど、さまざまなテクニックで作業を前進させるのに役立ちます。

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